化学工学会バイオ部会の皆様には、日頃より本部会の活動に格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
このたび部会長を拝命いたしました中島田でございます。化学工学を基盤としてバイオ分野の発展と産業化を牽引してきた本部会の伝統を受け継ぐこととなり、その責任の重さを深く認識しております。
本部会はこれまで、化学工学的視点から、微生物や動・植物細胞を対象とする複雑系に対し、モデル化、プロセス設計、およびスケールアップに関する体系的な議論を重ねてまいりました。これにより、基礎研究の成果を実用プロセスへ展開し、社会実装へと結び付ける学術基盤が築かれてきたものと認識しております。
近年、AIや先端計測技術の進展により、反応・分離・移動現象の精密解析とモデル化が飛躍的に高度化しております。また、バイオテクノロジー分野においても、合成生物学や細胞培養技術の進展に伴い、各種要素技術の高度化とモジュール化が進み、それらを組み合わせた研究開発が加速しております。これは、バイオ分野が設計・統合を重視した工学的段階へ移行し、実用化に向けた取り組みが一層深化していることを示すものと考えられます。
一方で、実プロセスへの展開においては、スケールアップに伴う現象変化、物質・エネルギー収支、プロセス統合、さらには経済性や持続可能性の評価といった課題が依然として重要であり、これらは化学工学の中核的課題でもあります。要素技術の高度化が進む今こそ、これらをいかに統合し、安定かつ競争力のある製造技術として確立するかが強く求められています。
そのためには、相互作用を含めた体系的理解に基づくプロセス設計と最適化を進め、実装可能性および事業性を見据えたバイオプロセス開発を一層推進していく必要があります。本部会としては、産学官の連携を一層強化し、バイオと化学工学の融合を深化させることで、研究成果の社会実装と産業展開に資する議論の場を提供してまいる所存です。
微力ではございますが、歴代部会長の理念を継承し、本分野のさらなる発展に尽力してまいります。会員の皆様におかれましては、引き続きご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、皆様のご健勝とご活躍を心より祈念申し上げます。
公益社団法人 化学工学会 バイオ部会長
中島田 豊
(広島大学 大学院統合生命科学研究科 教授)