部会長からのメッセージ

バイオ部会の持続的発展のために
バイオ部会長
東京大学大学院工学系研究科
化学システム工学専攻 酒井康行

 2020年4月から二年間の任期で部会長を務めさせていただきます.昨今は新型コロナウィルスの流行で皆様方の研究・教育や業務の遂行が大きく阻害され,日々ご苦労をされておられるとお察し申し上げます.コロナ禍は人体への我々の理解が非常に未熟であることを改めて我々に認識はさせていますが,一方で,それに立ち向かう新たなバイオテクノロジーの萌芽をも同時に我々に見せてくれています.まさに混迷の時代ではありますが,中長期的な視点にたち,歴史と実績のある我が国の生物化学工学の持続的発展のために,皆様のご協力を得ながら,尽力したいと考えております.どうぞよろしくお願い申し上げます.
 化学工学会バイオ部会は,今から約20 年前の2000 年9 月に,化学工学会の部会制移行と共に第1号の部会として発足しました.バイオ部会は,会則第二条に書かれているとおり,「化学工学が関与するバイオ関連研究分野の学会代表として、当該研究分野に関する知識の交換、情報の提供などを行う場となることにより、当該研究分野の進歩普及を図り、もって国内外の学術の発展と産業の発展に寄与すること。」(バイオ部会ホームページ,会則,http://www.scej-bio.org/)を目的としています.現在,その活動は6つの専門分科会と1つの研究会に象徴されるように多岐に渡り,各研究者は化学工学会に加えて多くの専門的な学会を活躍の場とされているのが実情ですので,バイオ部会の役割は,化学工学および化学工学会というバックボーンを基礎としつつ,それら先端分野でのご活動の総括的な支援であると考えています.
 このような大きなスタンスの中で,この二年間では,前々部会長の本多先生が掲げられ,前部会長の大政先生が発展をされてきた「4つの提言」と「ミッション」およびそれを実現するために「アクションプラン」を引き続き遂行して参ります.

【バイオ部会:4つの提言】

・バイオ部会の国際化へ
・産学連携の融合促進と活性化
・バイオ部会の組織改編
・バイオ部会の人材育成




【ミッション】

快適な生活と健康の増進に寄与し,社会に貢献するバイオ技術の発展を目指します.
生物化学工学のプレゼンスを顕著にすることにより,生物化学工学者のさらなる地位の向上を目指します.


【アクションプラン】

会員が研究や業務の展開のために切磋琢磨する場を提供します.
情報公開を部会活動の原則とするとともに,会員にバイオ関連の情報を提供します.
会員の国際的活動を支援するため,国際学会やシンポジウム等の企画と後援を行います.
社会および産業界にたいして,バイオの科学と技術に関するサービスや提言を行います.
工学の部会として,従来の学問体系を越える新しい学問分野を拓く活動を行います.
工学と産業の分野において,バイオ部会のプレゼンスを顕示する活動を行います.

 これら生物工学者の総括的支援の活動と平行して,特に若手中堅の会員の部会活動の負担の軽減を進める必要があり,この二年間でバイオ部会の事務局体制を簡素化し,かつ持続可能なものにしたいと考えております.折から化学工学会本体も,部会や支部活動の支援の仕方について議論を始めたところで,バイオ部会はその先陣を切ることで学会全体の持続可能性の確保に貢献出来ればと考えております.
 さて,2015年9月に「国連の持続可能な開発サミット」で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals,持続可能な開発目標)は,今まで国連で制定されたどの目標よりも大きな切実感を持って人々に受け入れられています.これは昨今の新型コロナ禍や温暖化による異常気象の多発,自国中心主義の台頭などを目の当たりにして,より多くの人々がSDGs を自分の問題に引き付けて捉えているためでしょう.このSDGs には,生体や環境と人間活動の狭間に位置づけられる問題も多数あります.一方,生体・環境生物に関する理解は,網羅的解析や数理的手法もフル活用しながら今後も加速度的に進むと思われます.これら先進的な研究分野で勝負をしながらも,広い視野・社会への寄与という問題意識を持つ生物化学工学者のコロナ後の社会や産業で果たしうる役割は増大する,と考えるのは私だけでしょうか?
 最後になりましたが,バイオ部会の活動について,会員の方々からは,バイオ部会の活動についてのご意見・ご提言を広くお待ちしております.社会の要請に柔軟に応えるために,既存の専門分科会や研究会の枠に問らわれず,また化学工学会やバイオ部会という枠をひとまず置いておくような新たな活動もあってよいと考えています.2年間,“持続可能性”をキーワードとして,緩やかなバイオ部会の変革を進めたいと考えております.どうぞよろしくお願い申し上げます.


▲HOME


Copyright (C) Division of Biochemical Engineering, The Society of Chemical Engineers, Japan