第1回講演会「有機質バイオマスの再生資源化・リサイクル対策戦略」

主 催: 財団法人・有機質資源再生センター
協 賛: 化学工学会、石油学会、日本生物工学会、日本農芸化学会、日本土壌協会、日本土壌肥料学会、廃棄物学会
会 期: 講演会:平成16年 1月30日(金)  午前10時〜午後5時30分
懇親会:平成16年 1月30日(金)  午後5時45分〜午後7時45分
会 場: 早稲田大学理工学部(大久保キャンパス 東京都新宿区3-4-1)
講演会:55号館 S棟 1階 大会議室 (TEL:03−3203−4141(代) 内線:73−2290)
懇親会:57号館 地下1階生協レストラン
参加定員: 200名
参加費:
講演会  個人正会員 12,000円(協賛団体の正会員を含む)
  大学・官公立研究機関の正会員 7,000円
  学生会員 1,000円(協賛団体の学生会員を含む)
  法人会員の社員 14,000円
  会員以外 17,000円
懇親会費: 5,000円
申込先: 財団法人・有機質資源再生センター事務局 FAX: 03-3204-1263

プログラム: 10:00〜10:15  開会挨拶    理事長(早大理工) 平田 彰
  10:15〜11:15  バイオマスニッポン総合戦略の農林水産省における取り組みと方向
 農林水産省総合食料局食品産業企画課食品環境対策室
    課長補佐 森田 富幸
     地球温暖化の防止、循環型社会の形成、競争力のある戦略的産業の育成及び農林漁業・農山漁村の活性化を図るため、動植物が太陽エネルギーを利用して生成する農林水産資源や有機性廃棄物等の生物系資源であるバイオマスを、エネルギーや製品として総合的に利活用する「バイオマス・ニッポン総合戦略」が平成14年12月に閣議決定された。
 本総合戦略では、「バイオマス・ニッポン」の進展シナリオや具体的目標のほか、「バイオマス・ニッポン」実現に向けた基本的戦略を定めており、今後は、本総合戦略に即し、推進体制を整備するとともに、バイオマスの生産、収集・輸送、変換、変換後の利用等に関する各種施策を推進することとしている。
 以下では、バイオマス・ニッポン総合戦略の概要と食品廃棄物を中心とした農林水産省の取組みについて紹介する。
  11:15〜12:15  有機質バイオマスの再生・資源化戦略
 国立環境研究所水土壌圏環境研究領域 主席研究官 稲森 悠平
     有機質バイオマス資源活用のための我が国の再生ポテンシャル、食品廃棄物等を包含した水素エネルギーの燃料電池への活用方策、有機性廃棄物生ゴミからのプラスチック化の技術、食品系廃棄物等のバイオマスを活用したエタノール化技術などについて現状を解説する。最後に、再生可能なバイオマス資源の利用における課題を指摘し、今後日本が取り組むべき有機質バイオマスの再生・資源化戦略を展望する。
  12:15〜13:15   昼食
  13:15〜14:15  食品系廃棄物のコンポスト化
 静岡大学工学部物質工学科 教授 中崎 清彦
     コンポスト化は食品系廃棄物をリサイクルできる優れた方法の一つのであるが、十分に普及しているとはいえない状況にある。食品系廃棄物のコンポスト化普及を妨げている原因はいくつか考えられるが、プラスチックなど夾雑物の混入、悪臭の発生、コンポスト化の機構がいまだ明らかになっているとはいえないために合理的な運転が把握されておらずコスト高に繋がっていることなどの影響が大きいということができる。 講演ではプラスチック混入の問題に対して、現在盛んに開発されている生分解性プラスチックはどのような役割を果たすのか、また、悪臭発生の定量法とそのコンポスト化プロセス評価への適用について紹介する。さらに、コンポスト化機構解明のためにおこなわれている分子生物学的手法を用いた微生物叢変化の解析と有機物分解過程の対応付けの試み、おすすめの実用規模コンポスト化法についてなど、コンポスト化普及に向けたヒントを話題提供する。
  14:15〜15:00  乳業におけるゼロエミッション
 森永乳業(株)生産技術部 マネージャー 矢崎 雅俊
     弊社自社工場における2002年度の廃棄物発生量は約51,000トンであり、再資源化率は約85%、埋め立て処分率は約5%である。乳業界の環境自主行動計画では、再資源化率の目標を2010年度に70%としており、弊社はこの要件をすでに満たしている。
 乳業工場の特徴的な再資源化の取り組みは、年間約200トンの紙パックのリサイクルおよび年間約300トンの廃棄乳などの液状飼料化である。
 廃棄乳については自社工場内処理を目指し、クボタ(株)の協力を得てエネルギーを回収する実証テストを昨年から継続実施しており、その結果によって実プラントの設置を判断する。
 現在、廃棄物発生量の多くを占める排水処理余剰汚泥について、発生抑制と減量化の取り組みを進めている。
  15:00〜15:15   コーヒーブレイク
  15:15〜16:00  キリンビールにおけるバイオマスのエネルギー利用とゼロエミッション
 キリンビール(株) 社会環境部 部長代理  平川 光雄
     キリンビールにおけるバイオマスを利用したエネルギー利用とゼロエミッションの事例を幾つか紹介する。
 神戸工場では、工場竣工時から廃水の嫌気処理設備を導入しバイオガスを蒸気用の燃料として利用していたが、2002年秋、より効率の高いバイオガスエンジン式コジェネを導入。工場で使用する電力の20%をカバーし、発電の際の廃熱も回収利用している。またエンジンにとって障害となるバイオガス中の硫黄分を除去する生物脱硫装置も併設し、脱硫剤が不要になり廃棄物削減にも役立っている。
 取手工場では、2003年春、世界で初めて商業稼動した「溶融炭酸塩型燃料電池」は、排水処理で発生するバイオガスを燃料にして発電し、電力と発電の際の廃熱回収による蒸気の全量を、ビール製造工程のエネルギーとして供給するシステムである。これによって工場で使用する4%の電力と1%の蒸気をまかない、CO2排出も2%削減できる見込みである。
  16:00〜16:45  家畜の骨から肉質食品素材(マローリマルジョン)を生み出す技術
 (株)増幸産業 代表取締役 増田 幸也
     マローリマルジョンとは新鮮な家畜の骨を段階的に粉砕し舌触りのないペースト状に加工したもので、抜群の栄養価とユニーク性を備えている新食品素材です。骨は一般にほとんどがカルシウムだと思われていますが、実際には薄いカルシウムのパイプにマロー、即ち骨髄質が詰まっているものです。骨髄には人体に欠かすことのできないコラーゲン、コンドロイチン、各種アミノ酸、ビタミン等が豊富に含まれており、低コストで高栄養価、そして何よりも"美味しい"正に三拍子揃った肉質食材です。更に、マローリマルジョンには太らない脂肪と言われる「不飽和脂肪酸」が多く含まれており、ダイエット食品としても注目されており、ハンバーグ、ミートボール、シュウマイ、餃子、ソーセージ、クッキー等の食品に2〜5割程度の割合で使用されます。もちろん魚の骨や頭を原料としたマローリマルジョンも利用されております。
  16:45〜17:30  ホテルニューオータニの資源再生実施例
 ホテルニューオータニ 社長室アドバイザー 兼 エヌアールイーハピネス(株)顧問 和田 孝一
     いま地球上では、水や空気の汚染、食物履歴への不信、エネルギーへの不安など、多くの環境問題が解決すべき課題として取り上げられています。これらに端を発する地球環境の破壊は、21世紀を迎えた今も好転することなく、私たちの社会を圧迫しつつあります。かねてよりホテルニューオータニでは、ホテルを都市の小モデルとしてとらえ、循環型社会を実現するための様々な施策を導入してきました。これまでにホテルニューオータニが構築してきた環境対策は「先導的エネルギーシステム」「エンバイロメンタルテクノロジー」「バイオテクノロジー」の3つの分野に及び、各分野に循環型リサイクルシステムが導入されているのが特徴です。例えば「先導的エネルギーシステム」においては廃熱利用やエネルギーの高効率化、「エンバイロメンタルテクノロジー」においては食品残渣を資源として有効利用した肥料化・飼料化、「バイオテクノロジー」においては中水リサイクルシステム、コンポストプラントシステムをそれぞれ導入しています。
  17:45〜19:45   懇親


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